融資の判断材料にはどのなものがあるのでしょうか。 

①決算書(過去の実績)
②事業計画(将来予測計画)

が挙げられます。これらにより、回収可能なキャッシュフロ−額を判定し、融資の有無や金額を判断することになります。
 
事業計画とは何でしょうか。  

企業の理念から、将来あるべき姿としての「ビジョン」を定め、これを実現するための段階的な「経営目標」を決めます。
現在の状態から、この経営目標値やビジョンに達成するための戦略、行動計画を策定、数値化することを事業計画と言います。
        ダメな事業計画の例
         a.経営者の決意を示した文章のみの事業計画
         b.売上増、原価減の理想ばかりの事業計画
         c.予測値が毎年大きく未達となる事業計画 

事業計画の数値はどのように決めるのでしょうか。
事業計画数値=①(過去実績−特殊要因)x 需要動向 +②戦略による影響額

まず、①特殊要因(単年度の収益のみ、定期的だが数年に一度といったペ−スで収益に影響する事象)を除いて、平時の市場・競合環境の下で、企業が現在の営業活動を続けた場合にあげられる収益力(現状の実力)を知り、ビジョン・目標に到達するために何をするかを考えます。
      
例 

前期売上110百万円、今期需要動向予測は前年比70%、前期特殊要因10      百万円の企業の現状の実力?
          (110−10)X 70%=70百万円
前期と同額の110百万の売上を確保するには、追加の戦略(戦略の影響額)を考える。
      
次に②戦略による影響額=達成確度X効果額を考えます。
戦略による影響額とは、企業の戦略に基づく行動計画を実行できた場合に、業績を引き上げる効果を金額で表したもので、現状の実力と目標値の差をうめるものです。
 

例 

生産設備に投資し、生産能力を1.5倍に上げるという戦略の場合、生産能力が1.5倍になっても受注量が同じであれば、達成確度はゼロ、戦略による影響額もゼロとなります。達成確度が、どの程度(その戦略に対する行動計画がきちんと計画され、順調に進んでいるか)で、効果額(過去の事例や同業他社の事例を参考にする)が正確に見積もられているかが、チェックポイントととなります。
      

経営計画を誰が作成しているのかも重要

経営者が単独で作成する(トップダウン型)の場合、過去の決算数値や根拠なく、何割アップで作成することが多いという欠点があります。また、現場部門が作成する(ボトムアップ型)場合、部門別の損益や商品別管理等の組織体制ができていないと、いい加減な数値になる可能性があり、これらに注意して作成することが重要です。


事業計画ではどんな計画を作成すればよいのでしょうか。  

①損益計画

売上・原価・販売費・管理費・営業外損益・特別損益計画など 営業上の損益に関する計画
②資金・資本計画  

運転資金や設備投資、資本政策に関する計画、①で把握された収益力をもとに作成する。


具体的な目標値の設定の仕方は?   

上に示した式 目標値(事業計画数値)=(過去実績−特殊要因)x 需要動向 +戦略による影響額 の目標値の設定で有用な科目は経常利益です。

融資を受ける場合、この経常利益が借入金に対して、一定額を保つ必要があるため、必要最小限の経常利益を確保しなければなりません。簡易なキャッシュフロ−{経常利益X(1−40%(税率)+減価償却費}が借入金に対して10年以内の返済に収まる経常利益を目標値とした場合を考えてみます。
例 
条件
①現在借入10、000万円、今回借入予定2、000万円 全体で12、000万円
②減価償却費300万円
③返済10年
④税率40%
上の条件での年間返済キャッシュフロ−は、 12,000万円÷10年=1,200万円
この場合の経常利益目標値は、 (1200万円−300万円)÷(1−0.4)=1,500万円となります。


具体的な損益計画の方法とは  

売上高、製造原価、販売管理費、営業外損益に分解して現状を把握します。

Ⅰ.売上高の計画
(ポイント)

◆正常な売上高の把握します(特殊要因による売上を除くこと)。
◆過年度実績及び需要動向(市場動向、競合動向)を製品別・事業別の分類により分析します。                                                   

①過去しします3年程度の売上高を事業別・製品別に分解し、特殊要因(特需など)を除いて推移を作成します。
②①の横に、過去の実績動向(毎年−%増、減または横ばいなど)と将来動向を加味して、製品別に将来3年程度の売上高推移を予測して記載します。  


Ⅱ.製造原価の計画
(ポイント)

◆材料費、労務費、製造経費を製品別・事業別に固定費と変動費に分解します。
イ.材料費

①材料費は変動費で、生高に比例する費用(材料費=生産高X材料費率)です。ただし、材料比率が異なる製品を多くく抱えている企業の場合、製品の生産構成が変化するため、全体として総売上高に対する材料比率は、一定ではない場合があります。

②過去3年程度の材料費を事業別・製品別に分解し、特殊要因(特需など)を除いて、製品ごとの材料費金額と売上に対する材料費比率推移を作成します。これから平均材料比率を算出し、これをⅠの売上予測額に乗じて、製品別の材料費を予測します。


ロ.労務費

労務費は固定費と変動費に分解し、固定労務費は基本的には前期同額だが、従業員数の自然増減・昇給を考慮します。         

変動労務費は稼働時間により変化するため、売上高合計(製品別が無理な場合)に対する変動比率を求め、過去3年程度の変動労務費比率推移を作成ます。これにより算出した平均比率をⅠの売上予測額に乗じて変動労務費を予測します。
              
ハ. 製造経費

製造経費についても、固定費と変動費に分解し、固定製造費は費用内容により変動見込みのものは調整し、それ以外は前期と同額とします。変動製造費は、売上高合計に対する変動比率を求め、過去3年程度の変動製造費比率推移を作成します。これにより算出した平均比率をⅠの売上予測額に乗じて変動製造費を予測します。

固定製造経費とは、
地代家賃、賃借料、保険料、減価償却費等
変動製造経費とは、運送費、水道光熱費、外注加工費等
              

Ⅲ.販売費・管理費の計画 
それぞれを固定費、変動費に分解し、固定販売費・管理費については、費用科目別に検討する。変動販売・管理費については、変動労務費等と同様。

販売費で固定費は、広告宣伝費等、変動費は、販売手数料、運送費等            
管理費で 固定費は、 給料、減価償却費、租税公課、事務消耗品費等

Ⅳ.営業外損益の計画
(ポイント)

◆借入金(借入予想も含む)に対する支払利息が重要。保守的な利率を用いて作成します。


戦略による影響額の算定について     

目標値の設定で求めた経常利益目標と上記損益計画で求めた経常利益予測の差額が現状の不足額となります。そこで、これを埋めるために戦略による影響額を加味していく。(根拠ある数字で算出する)
戦略による影響額は、達成確度と効果額から計算されます。


①新規売込み先や既存先と別製品との新取引などの売上増要因
②製造過程における材料ロス率の削減による製品の材料費率削減要因


経費削減のため、製造過程を見直した結果、A製品材料にロスが判明した場合、改善すれば、材料費率が3%削減可能となります。しかし、その達成確度70%という場合、計画値としては2.1%削減として反映します。対策の実施にあたっての難易度、確度はどの程度であるかを根拠資料で確認し、影響額の算定を明確にします。

 

計画作成後はどのようにすればよいのでしょうか。         

事業計画は形骸化しないよう、計画と実績の管理をし、次の行動につなげていくことが重要です。  
そのため、年次計画は、月次に按分し、管理する項目を絞り込み、差異分析(差異の原因)を実施していきます。                      

              


    



    

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