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景気後退期、減益していく中での節税には限界があります。今こそ経営体質の改善が重要です。
儲かって、所得が出てこその節税です。減収・減益が予想される状況では、今までの業務内容や収益・費用の中身を見直し、経営体質を修正(改善)していくことが必要です。
景気後退期には、コスト削減は重要なテ−マです。ただし、単に削減するだけでは、業績は、縮小してしまいます。不況時には、原価(製造原価、売上原価)や費用(販売費・一般管理費など)を抑え、営業や広告宣伝などの販売促進に費用投入することが必要です。
では、コスト削減のためには、どのようにすればよいのでしょうか。
そのためには、まず原価や費用を変動費と固定費に分類し、固定費の内容や金額を見直します。(固定費のままでよいのか、また金額を減らすことができないのかを検討します)
固定費というとまず人件費です。単純に人員を減らせば良いと言うわけではありません。製造業の場合、操業度を落としたことによる、生産部門の余剰人員を、また、製造業以外では、経理や総務の管理部門の人員を、営業や営業事務へ移転させます。その上で、余剰人員の削減をしていきます。
また、製造業の場合は、生産部門を低コストな外注生産にできないか検討することが必要です。同様に、経理や総務の管理部門の業務を外注(アウトソ−シング)することが必要です。
外注にする場合、外注料金が売上や人員によって変動するような料金設定の契約をすることです。これにより、固定費だった人件費が、変動費化します。 (その他の費用についても同様に実施します)
下の表は、現在の費用構造(①)とこれを変動費化(②)した場合の利益を比較したものです。売上額が変動すると、利益がどのように変化するかを比較してみてください。
現在の売上高を100としています。
①(現在の費用構造を変えない場合)変動比率(変動費/売上高)=20%
売上高 | 80 | 90 | 100 | 110 | 120 |
変動費 | 16 | 18 | 20 | 22 | 24 |
限界利益 | 64 | 72 | 80 | 88 | 96 |
固定費 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 |
利益 | 14 | 22 | 30 | 38 | 46 |
限界利益率 | 80% | 80% | 80% | 80% | 80% |
損益分岐点 | 63 | 63 | 63 | 63 | 63 |
②(変動費化した場合) 変動比率(変動費/売上高)=30%
売上高 | 80 | 90 | 100 | 110 | 120 |
変動費 | 24 | 27 | 30 | 33 | 36 |
限界利益 | 56 | 63 | 70 | 77 | 84 |
固定費 | 40 | 40 | 40 | 40 | 40 |
利益 | 16 | 23 | 30 | 37 | 44 |
限界利益率 | 70% | 70% | 70% | 70% | 70% |
損益分岐点 | 57 | 57 | 57 | 57 | 57 |
◎変動費: 売上に比例して、増減する費用(仕入高など)
◎固定費: 売上高に関係なく、発生する費用(給料、賃借料など)
◎限界利益: 売上高−変動費
◎損益分岐点: 限界利益=固定費となる売上高(つまり、限界利益をもって固定費を回収しきる売上高の水準)
現在の売上高が、100で利益が30の時、固定費を50から40、変動費を20から30とした場合 (費用10を固定費から、変動費化したことを意味します) 、つまり①表から②表に費用構造を変えた場合
売上高が、80に減少すると、利益は、①表の現在の費用構造では 14に対し、 ②表の変動費化した(費用構造を変えた)場合16と多くなっています。
このように売上高が、減少していく時には、変動費化をすすめて、損益分岐点を引き下げることにより、利益を多くすることができるのです。(増収が見込める場合は、逆に固定費化した方が利益額が多くなります。)
(*)人員削減の場合の注意点
●バブル崩壊時、各企業は早期退職制度や「肩たたき」を実施したが、優秀な人材が多く流出した。
●留まった人員に過度の業務負担がかかった。
●首切りの恐怖で、会社への愛着心や労働意欲が却って低下した。
不況を乗り切る、経営体質をつくるには、業務内容の流れを見直し、徹底管理をしていくことが重要です。アバウト(大まか)では、なかなか効果がでないのです。(体質改善と同じです。)
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